最高裁判所第二小法廷 昭和25(あ)1197 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人前野順一の上告趣意第一、二点について。
しかし上告の申立は刑訴四〇五条に定める事由があることを理由とするときに限
りなすことができるのであつて、同四一一条(論旨は同五一一条を云々するが、こ
れは四一一条の誤記と認める)は上告申立の理由を定めたものではなく、同四〇五
条各号に定める事由がない場合でも上告裁判所が原判決を破棄しなければ著しく正
義に反すると認めた場合、職権でもつてこれを破棄することができる事由を定めた
に過ぎないものであることは当裁判所の判例とするところである(昭和二四年新(
れ)五号、同年七月二二日大法廷決定)。しかるに所論は右のごとき刑訴四一一条
は憲法の精神、特に同三二条に違反すると主張するけれども、そもそも上告審を純
然たる法律審即ち法令違反を理由とするときに限り上告をなすことをうるものとす
るか、又は法令違反のほかに量刑不当若しくは事実誤認を理由とする上告を認め事
実審理の権限をも上告審に与えるかは一に立法政策の問題であつて憲法の保障する
ところでないことは当裁判所の確立した判例(昭和二二年(れ)五六号、同二三年
二月六日大法廷判決)であるから、論旨のごとき違憲論は採用できないのである。
なお、本件では特に刑訴四一一条二号を適用すべき場合とも認めることはできない。
よつて刑訴四〇八条により主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見である。
昭和二六年四月二〇日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 霜 山 精 一
裁判官 栗 山 茂
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裁判官 藤 田 八 郎
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